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2011年1月30日発行 『NIP』 Winter 2010 No.4
"物流のプロ"への転換めざす 3次元包装設計に強み

記事内容

月産120万m2と奈良県下でトップクラスの段ボール箱生産量を誇る川由(奈良県北葛城郡)の川口栄計社長は「2010年は段ボールメーカーの看板を降ろす」と述べている。ねらいは顧客の目線に立った提案力を高め、"総合物流コンサルタント企業"への脱皮を図ること。同社では7、8年前から新しい企業アイデンティティの確立を模索していたが、「昨今の経済環境で"待ったなし"の状況になった」(川口社長)という。

数年前からそのための布石を着々と打ってきた。2005年に中小企業基盤整備機構の認定を受け、3次元包装設計システムを構築。ウェブサイト経由で顧客から製品本体の3Dデータを受け取り、CADの図面自動作成機能(ビルダー)により2次元の図面展開図を作成するという独自のシステム(特許出願中)で効率化を追求している。顧客が3Dデータを持っていない場合は、非接触3次元データ作成にも対応する。

さらに川口社長は「梱包材は当社が提供できるトータルサービスの一要素に過ぎない」と強調する。梱包材製造から組立て、アソートなどの包装サービスから物流ワークフローまでを「設計」し、複合的な提案を行っている。

同社は工業分野の緩衝・輸送包装設計のほか、ギフトなどの流通包装も得意とする。川口社長によると、この2つの分野では包装改善のアプローチが全く異なるという。

「工業包装は一点もののパーツの位置づけ。3次元包装設計で最適な包装仕様を最短スピーディに提案していく。一方、流通包装は標準化とコストダウンがキーワードになる。梱包材の共通化やアソート、組立加工を含めた複合的な提案がカギを握る」

提案力の根幹となる人材育成にも力を注ぐ。大手物流企業や流通関係の実務経験が豊富な人材を役員として招き、1月から営業体制の強化を図った。

社長に就任して5期目を迎える川口社長は「当初は地域でナンバーワンの段ボール企業をめざしたが、量を追求するこれまでの段ボールの売り方が通用しない時代に入った」と語る。その象徴として、段ボール企業の事業規模の物差しがトンや平米という紙の使用量になっていることを指摘する。「月にどのくらい紙を使っているかを競うのは目線が作り手側にある証拠で、きめ細かい営業ができない。顧客にとって大切なのは才数と個数。顧客の目線に立つためには段ボール企業としての発想を捨てなくてはならない」と川口社長。

「不況の影響で包装資材費削減の要望が高まると予想されるが、すでに資材だけではコストダウンも限界。"物流のプロ"としてトータルコストダウンを提案していきたい」と意欲を示す。

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